大東建託株式会社 Partner’s Interview vol.4 

大東建託株式会社 人事部 ダイバーシティ推進課 宮崎様、平山様(取材日:2021年11月4日)

自分でつくるキャリアこそが真の活躍につながる。ボトムアップ重視でD&I推進に取り組む

女性活躍を中心に、D&I推進活動を行う大東建託株式会社。会社側からの働きかけだけではなく、社員の自主性を重視したサポートを行っています。今回は、取り組みの内容をはじめ、保活総研に参画した経緯やご感想などを伺いました。    

―D&I推進組織を立ち上げた経緯について教えてください

宮崎様(以下、敬称略) 社会的な流れもあり、弊社としても経営戦略としてD&I推進に本気で取り組まなければという思いから、人事部にダイバーシティ推進課を立ち上げました。社内の優秀な女性たちがより活躍できる土台を整えようと、まずは「女性活躍」を切り口にスタートし、最近ではLGBTQの方のサポートにも力を入れています。新たな価値創造をし続けられる持続可能な企業を目指す上でも、やはり多様な人材の活躍が必須だと考えています。

―現在、一番注力していることは何ですか? 

宮崎 やはり女性活躍です。キャリアの継続に関する取り組みは定着してきたため、現在は主体的なキャリアの形成を重視しています。10月からは女性育成プログラムとして、3年後の女性管理職数を定め計画的に育成していく「クォータ制」の導入や、本プログラムの推進を行う「女性活躍推進委員会」の設置、階層別に段階的な教育体制を整える「女性教育プログラム」のほか、女性部下の育成方法などを学ぶ「上司向け研修」を始めています。また、トップダウンの取り組みだけでなく、ボトムアップも注力しています。主な活動として「いろどりLAB(ラボ)」は女性社員をプロジェクトメンバーに抜擢し、社員自ら女性活躍を考えています。「PERSO-RES(パソリス)※1では女性に限らず男性、担当職や管理職、社員だけでなくアシスタントスタッフさんなどバラエティーに富んだメンバーが集まり「女性活躍」をテーマに活動しています。会社目線と社員目線、両方の視点があることが重要だと思っています。
※1 個性(personality)の尊重(respect)~

―女性活躍に特に力を入れている理由は?

宮崎 現実社会における男女の人口はほぼ半々で、お客様も男女ともにいらっしゃいます。むしろ家のことについては、女性の意思決定が反映されることも多く、女性のニーズが反映さていることが大切です。社内でも本当の意味で男女平等が実現されていなければ、お客様のニーズに合ったサービスは提供できません。そして、ただ女性が活躍しているというだけではなく、多様な人材の活躍によって世の中にさまざまな価値を提供することが最終的なゴールだと思っています。

―D&I推進を行う中で、壁はありましたか?

宮崎 立ち上げ当初、女性からは「なぜ女性ばかりが活躍しないといけないの?」という声があり、反対に男性からは「“女性”活躍という言葉に違和感がある」という意見もありました。いろいろな考え方があるとは思いますが、女性がさまざまな制約によって活躍を阻まれる場面があることは事実です。今は社会全体の理解が進んだことで、社内でも女性活躍に対するポジティブな意見を聞くようになりました。特に弊社はボトムアップを重視しているため、「みんなの意見を教えてほしい」「やりたいことがあったら手を挙げて」とメッセージを交えながらコミュニケーションを図ることで、「それなら協力したい」という声も増えています。壁もありますが、そういった応援の声を励みにここまでやってこられました。

―これから特に力を入れたいことは?

宮崎 従業員が思い描く理想のキャリアを大切にして、実現できるようにしていきたいと思っています。

有山様(以下、敬称略) 会社や世間が押し付けたものではなく、従業員一人ひとりが「私はこうなりたい」と自信を持って言えることが重要であり、本当の意味での活躍につながるのだと思います。男女関係なく、そういう自分軸を持った従業員が増えたら、より良い会社になると信じています。

宮崎 最終的には女性が活躍することが当たり前になって、「女性活躍」という言葉自体がなくなるのがベストだと思います。

キャリア形成の土台を整えるスムーズかつ早期の復職

―保活総研に参画した経緯を教えてください。

有山 私自身が保活で苦労したため、育休中の従業員に何か支援をできないかと思っていた時に保活総研のお話を聞き、ぜひ弊社にも取り入れたいと思いました。女性のキャリア形成を考える上では、やはりスムーズかつ早期の復職が重要です。そして、その土台となる保活支援が必要だと考えて導入に至りました。

―復職支援に対する社内の反応はいかがですか?

宮崎 育休中の従業員に保活情報を掲載したメルマガ「保活通信」を送っているのですが、反響はまだ少ないです。育児中は返事もままならないと思うので、こちら側がどうやって反応をキャッチするかが課題ですね。復職後の従業員と上司に研修を行った際には、「感動しました」「ありがたい」という声もありました。復職直後で不安を抱える従業員に寄り添うことは会社としても大切ですし、従業員にとっても仕事を頑張るモチベーションになってくれたらいいですね。また、上司側からも「どのようにサポートしたらいいか分からない」という声を聞くので、取り組みによって当事者以外にも影響を与えられたらと思っています。

―今後、復職支援は御社でどのように発展していくと思いますか?

宮崎 保活の知識をもっと蓄積し育休前の従業員にも情報を届けたいと思っていますが、まだできていないのが現状です。社内アンケートでは「男性からも子育て支援が必要」という意見もあり、今後は男性も含めてサポートしたいと思っています。そのためにも、まずは女性がどう感じているのかをキャッチすることが課題です。オンラインで気軽に相談できる場を設けたり、弊社のさまざまな支援や情報を従業員に届けていきたいです。

―最後に、保活総研の定例会で得たものや今後の期待を教えてください。 

平山様 私はまだダイバーシティ推進課に来て日が浅いので、D&I推進とは具体的にどんなことに取り組めばいいのか、他社事例を聞いて自社にも取り入れられることを見つけたいです。

宮崎 普通のセミナーはなかなか意見が言いにくいですが、保活総研は対面でもオンラインでも場の雰囲気づくりができているので意見交換しやすいですし、ほかの企業もそう感じていると思います。その上で、ただセミナーを聞いただけで終わりにせず、それを受けてどう思ったのか、社内でどのように活かしていくかなど、深い議論ができる場が欲しいです。日本全体の社会課題ですから、企業間でも助け合いの姿勢で取り組んでいきたいですね。

―本日は貴重なお話、ありがとうございました。 


会社側からのアプローチだけではなく、ボトムアップの取り組みを重視している大東建託株式会社。一人ひとりが“自分で考えるキャリア”を形成できることが真の活躍と捉え、従業員に寄り添ったD&I推進を行っています。引き続き、パートナー企業様同士の有意義な交流の場が各社のD&I推進の加速、ひいては日本の社会課題の前進につながることを願っています。

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